「友だち」は色々運んでくる
「友だち」は楽しみもやっかいごとも運んでくる
第2話「魔法の帽子」
かくれんぼをするか浜辺に行って貝殻を拾いに行くかこの二つに尽きます。
なんと有意義な時間でしょう、この谷にはどれだけ文明が進んでもスマートフォンが普及しないことを願うばかりです。
例に漏れずこの日も、浜辺に綺麗な貝殻を拾いに行ったムーミンたちでしたが、ムーミンの恋人のフローレンがアリジゴクの巣穴に落ちてしまいました。
そこに巣穴を荒らされたと怒り心頭のアリジゴクが顔を出してフローレンを食べると宣言します。
かなり珍妙な、ほとんど犬みたいな顔をしていますがどうやらムーミン谷ではアリジゴクと言ったらこの姿のようです。
フローレンを食べようとするアリジゴクから、皆で協力して何とかフローレンを助け出せました。この時のミィとスニフの「あんたは長いからロープになるにはちょうどいいの早くいきなさい弱虫」「うん、そう僕弱虫だから」という掛け合いに私はいつもほくそえんでしまいます この小気味良いやりとりもムーミンキャラの魅力です。
そしてその日の夜更け、仲良し四人組とは別の特別な友人が来訪します。
スナフキンです。
スナフキンと共に夜のムーミン谷を抜けて森の中に入っていくムーミン。森の川の中で木の枝に引っかかているモノは、前のお話でムーミンの姿を変えて騒動を起こした不思議な帽子でした。帽子は川の水を何か別の液体に変身させてたのです。
帽子から出て来た液体を一舐めすると木苺のジューズでした。
よく舐められたね…
実は、夜の散歩に出かけた二人をこっそりつけていたミィ
少し悪知恵を働けせアリジゴクに昨日の仕返しをしようとこころみます。
見事なまでの山門芝いを見せつけアリジゴクを帽子の中まで誘導するふたり、
そして思ったよりでかい蟻地獄
大きな石で蓋をしてムーミンお座りで閉じ込めること半刻、アリジゴクの姿は、、、
ちいちゃくかわいいハリネズミになりました。
何やら怒っているようですが、一同爆笑。ちなみに彼がこの後元に戻ったのかどうかも定かではなくもう二度と出てきません。ちょっと可哀そうかも、可愛いからいいか
そして二人の秘密だった魔法の帽子についてはムーミン谷一番の裏好きのみぃにあっけなく晴れてしまい、彼女せいでムーミン屋敷は一気に植物の中へ
ちなみにこのときもムーミンママは落ち着きながら植物からなった木の実を食べたりしています。
これはもう住めませんね。
騒ぎを聞きつけたこの一人だけ世界観が違うおじさんこそ帽子の持ち主である飛行鬼とその相棒兼乗り物の空飛ぶクロヒョウ、要素が多い。
見た目によらずに意外と親切な飛行鬼さん、マントを一振りして増殖する植物たちをからしてくれたおかげで被害を抑えてくれました。
そのお礼に何かできないかとムーミン一家は申し出たところ飛行鬼は「ルビーの王様を探している」というのでママのもっているルビーの指輪を見せますが、「素敵な指輪だが私の探しているルビーの王様ではないね」と申し出を断りそらへと飛んで行ってしまいました。
きっと全身タイツのおじさんが黒ヒョウにのって空へ消えていきましたといっても誰も信じてくれないでしょう。しかしそれが起きてしまうのがムーミンの世界観の素晴らしいところだと私は思います。
友人は冒険のきっかけに
街で見かけたおしゃれな喫茶店や実は行ってみたかったレジャーイベントなど、いつものルーティーンで生活をしているとこんな小さな冒険さえ年を取るにつれ億劫になってしまうものです。友人はその冒険のハードルを一段階さげてくれるものだと私は思っています。
ムーミンシリーズの中でムーミンはたくさんの珍しい体験をします。そしてそのどれもが一人ではなく友人や新しく会った人たちと巻き起こるのです。例えば冬のムーミン谷をミィと二人で過ごすお話があります。ムーミン谷の住人は冬になると冬眠する習慣があるのですが、たまたま目を覚ましたムーミンは一人で冬のムーミン谷を冒険します。本来一人でも物語を展開できそうなシチュエーションなのですが、同じく偶然にも目を覚ましたリトル・ミィと鉢合わせして結局二人で冬のムーミン谷を冒険することになるのです。
実際ムーミンは冬の間何度か「もし明日目が覚めないで春まで冬眠したらどうする」というミィの質問に対して「僕はもう冬眠に戻ってもいいかな」と消極的な態度を示すこともありましたが、翌日ミィが寝床に居ないことを確認すると外へ出て探しに行きます。ここでもしミィが居なかったら果たしてムーミンはもう一度寒い雪景色の中に足を運んだでしょうか。もしかしたらそのまま二度寝をして春まで目を覚まさなかったかもしれません。
良く知らない場所へのお供はよく知った人
ずっと行きたかったけど一人で行くのはちょっとなぁ。こんなふうに、どんなに小さな非日常でもそれはとてもスリリングです。でも、知らない場所へ行く時も気の置けない友人と居ると良い意味で気持ちが大きくなる気がしませんか。いつもの自分を知っていて肯定してくれる存在が隣にいるだけで色んな事に活動的になれると私は思うのです。
逆に、誘われた友人からすれば全く知らない場所、ともすれば一生関わることのなかった世界に触れるきっかけにもなります。このお話でいうところのスナフキンがそれにあたりますね。あの晩スナフキンが帽子のことをムーミンに教えに行かなかったらこの騒動は起きなかったわけですから。友人とはいつも通りの安心感と自分知らない世界のへの窓口になるとムーミンは教えてくれました。
~おまけ~
魔法で枯れた木々の下敷きになるパパ