ムーミンママから学ぶ「母親論」
ムーミンママから学ぶ「母」
第一話「ムーミン谷の春」
物語は雪に覆われたムーミン谷からはじまります。
ムーミン谷に住んでいる住民は冬の訪れと共に冬眠する習慣があり、例に漏れずムーミンも冬の間はぐっすり眠っています。
目を覚ましたムーミンは同じように冬眠から目を覚ました友だちスニフと旅から戻ったスナフキンと一緒にムーミン谷の北に位置するおさびし山へ向かい、山頂で不思議な帽子を見つけます。
自宅まで帽子を持ち帰り、かくれんぼを始めたムーミンでしたが隠れる場所に困り帽子の中に隠れることにしました、、、
そして、かくれんぼを終えて帽子から出て来たムーミンの姿は・・・
いや、何ミンだよ...
なんとこの帽子は、
中に入ったものを別のものに変えてしまう魔法の帽子だったのです。
原型をとどめていないほど変わってしまったムーミンに誰も気付きません。父親であるパパですらこの表情、終いには私はお前のパパじゃないとまで言い放ちます。
鏡を見てやっと自分に起きたことを理解したムーミンは泣きじゃくりながら「僕はムーミンだ」と大騒ぎ。その騒ぎを聞きつけ、部屋に入ってきたママにムーミンは「ママにはわかるよね、僕だよムーミンだよ!」と縋り付きます。
始めは戸惑うママでしたが、変わり果てたムーミンの手を取りしばらくの間目を見つめます。沈黙に耐え兼ね消え入りそうな声で「ママ」と声を出すムーミンを諫めてママは「間違いないわ、あなたは私のムーミンよ」そうやさしくつぶやきムーミンを抱きしめると・・・
みるみる魔法は解けてムーミンはもとのまんまるボディの可愛い姿に戻ります。
拾ってきた不思議な帽子は川に捨ててエンディングへ
ざっくりこのお話はこんな感じですね。
このお話は原作小説のたのしいムーミン一家のエピソードとなっており
トーベ自身が手掛けたお話ともいえます。
ムーミン一家におけるパパとママの役割
このお話においてムーミンママはどんな問題に対してもおおらかな心でどっしりと構えていて、対照的にパパはほとんど役に立っていません。追い詰められ息子にとどめの一言をいってしまってますしね(笑)
この対比はトーベの家族間に強く影響されていると考えることができます。
トーベの父は彫刻家でありその収入では家族を養うことができずにデザイナーである母は雑誌の挿絵や小説を書き、さらには銀行でパートで働きながら家事をこなし家族の多方面から支えてきました。このような家庭で育ったトーベが描く父親像の反映として、ムーミンパパは自分の半生を小説にしている物書きとしてどこか子供っぽい描き方をしているのではないのでしょうか。
ムーミン一家の中では
- パパ=ハンモックでお昼ねか部屋にこもって執筆
- ママ=家事全般をこなし家族の精神的なケアも担当
請け負っている役割がかなり偏っていますね。
ここまで極端ではないにしても家庭の中で母親が家庭に、とりわけこどもに与える影響の大きさと責任の重さは測りきれません。子供にとって母親という存在は一番最初に会うことになる人物であり、防衛基地としての役割も果たさなければなりません。ムーミンもこの騒動の最中一番最初に駆け寄るのは親友のスナフキンでも恋人のフローレンでもなければ、ましてや父親であるパパでもなく”ムーミンママ”でした。
「ママは僕のこと分かってるんでしょ、ムーミンって呼んで!」
この一言でムーミンが自分を理解してくれる最後の砦としてママをどれだけ信頼してるかが伝わってきます。
母は子に着させ・食べさせ・分別を教えなければいけません。こどもが嫌がっても野菜を食べさせないといけないし、ゲームをし過ぎていたらコントローラーを取り上げて宿題をさせなければいけません。口うるさいと思われようとも、おせっかいだと煙たがられるようになっても、こどもを思えばこそ憎まれ役にならないといけないことは必然的に多くなるでしょう。
それでも
子供が膝をすりむいて帰って来たとき、熱を出して寝込んだとき、怖い夢を見て眠れなくなったときに真っ先に頼りたくなるのはお母さんです。
母親とはこどもにとって
一番最初の遊び相手であり
一番最初の先生であり
一番信頼している存在です
私たちはお母さんにちゃんと言葉にして感謝の言葉を伝えなければなりませんし、
自分が母親になったらムーミンママの様に深い愛情を持ってこどもの成長を見守っていけるような存在になりたいです。
~ひとこと~
今回のパパが残念過ぎる